彼と彼女の中庭/石田とわ
わたしはその量の少なさに気がつかなかったのだ。
「ここ最近食欲がなく食べられないんだ」
「明日病院に行きましょう。一緒に行くわ」
彼女が仕事を休んで病院へ付きそうことなど今までなかった。
わたしはそのことだけで不安になり、特別に作っってくれた甘いはずの
卵焼きの味もその夜は味気なく感じた。
そして3人で囲む食事はこの日が最後となった。
次の日どうしてもと言ってわたしも学校を休み一緒に病院へ行った。
長い時間待たされたはずなのだがその記憶がない。
様々な検査のあと医者はこう言った。
「癌マーカーが高いですね。すぐに入院されてもいいですし、お仕事を
片づ
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