彼と彼女とわたしの海/
石田とわ
んをつまむ彼。
餅巾着をほおばるわたし。
彼女は母親らしく、そして妻らしく目を配りながら
いつものように無邪気に笑う。
彼は一体どんな気持ちで釣りに行こうと言ったのだろう。
杯を傾け、本に目を通す彼に寂しげな様子は見られない。
無口で穏やかないつもの彼だった。
海の色を思い浮かべながら、おでんの夜はゆっくりと静かに過ぎた。
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