せきをしてもひとり?/そらの とこ
 
かは覚えていない――
むくり。
とっさに起き上がった。
と、その時。

ヴェッボッゴッボッ (; Д )

とてつもなく恐ろしい音がした。
自分の咳だと気が付くのにしばらくの猶予が必要だった。
まるで地獄の番人が3〜4人まとめてゲップとしゃっくりとおならをして、それと同時に煮えたぎった鉄釜の血が大きなあぶくを立てたような音―それも天高く鳴り響いた。
もうどうにも表現ができない、恐ろしい音だった。

プカァー。
あ、今出たな、これ、出たな。
そう感じたときにはもう出ていた。
体からたましいが出ていた。

入れ物からでてしまった。
もうふわふわと浮かんで定まらない。

ああ、こんな顔をしていたっけ?
そこに見える体。
みすぼらしいな。

などと自分の観察をしていた、
余裕が多少あったのに、

次の瞬間には、

もう、

何にもなくなって、

このお話も、

おしまいである。



―完―
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