彼と彼女の買い物/石田とわ
 




それは年明け早々のことだった。
このときほど彼と彼女に驚かされた事はない。

お正月も三が日が過ぎて、ようやくいつもの生活に戻り始めた日曜日。
彼女も仕事が休みで三人揃っての休日となった。
        
「買い出し行かない?」
布団の中でもぞもぞ動く彼女に声をかける。
「いってらっしゃい」
くぐもった声と布団の端から手をひらひらさせる、
それが彼女の返事だ。
私はしばらくそこへじっと立ちつくす。
これって変じゃない?
だって私はこの家の主婦じゃない。

彼にその事を訴えてみる。
「行きたくないなら、やめなさい。行ってくるからいいよ」
憤るわたし
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