2013-3-31/南条悦子
 
つものように窓辺を見つめていて、ガラスに映り込む僕のシルエットを網膜に焼き付けていた。いやいや。待てよ。僕はそう思って再び意識を失った。patapatapatapata。昔昔Nという奴がおりましてとても軽薄な男なのでした。昔々Sという奴がおりまして彼女はとても傲慢な人間でした。僕はSは北を指差し、Nは南を指向する、そうした諧謔の類では御座いません。Sは素敵な絵筆を身に纏っておりギターを弾くのが好きな女の子でした。けれど彼女は自信がありませんでした。十分なものを持っていたのにどうしてだろうと僕は思っていたのです。Nは色男でというより人の良い面倒見のいい大変素敵な男性であるのですが、おしゃべりという唯
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