落日/
川上凌
射抜かれるような鋭い西陽(にしび)が
僕の皮膚を透明にしたのは
あの日の午後のことでした
僕には魚のような鱗(ウロコ)の鎧は在りません
鰐のような硬い皮も
犬のような強い毛も在りません
僕の皮膚がこんなにも透明で
鎧にも かたい皮にも 強い毛にも覆われず
柔っこくてへなちょこな訳は
あの冷たい午後しか知りえないのです
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