彼と彼女とふくれっつら/石田とわ
タンとドアを閉める。
「手伝うよ」
後を追いかけ、そう声をかけるが
「自分でやります。もう掃除が終わったなら休んでなさい。」
あーあー、こうなると彼女は面倒だ。
自分が悪いくせにすぐ意固地になる。
とばっちりを受けないように彼のところへ非難する。
「手伝ってあげたら?」
無駄だと思いながら彼に言ってみる。
「そろそろ夕飯の下ごしらえをするかな」
彼はわたしの頭に手を置き、キッチンへ向かう。
彼は時間を見ながら丹念に肉を煮込む。
その作業はほとんど半日かかり、ワインが一本煮込まれてしまう。
時間をかけて煮込ん
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