彼と彼女とふくれっつら/石田とわ
 
女は浴室、トイレ、寝室。
私は自分の部屋と玄関だ。

彼の使うキッチンはいつもきれいだ。
リビングの床を磨いて、窓を拭くとさっそく本の整理に取り掛かる彼。
整理しながら読みだしているのだけれど、それもいつものことで
彼はいつの間にか片づけてしまう。
         
そんなところへ彼女から声がかかる。
「新聞だすの手伝って」

「自分でやりなさい。それは毎週捨てるべきものだ」
立ち上がる様子もなくそのまま本を手にする彼。
        
彼はこうした時、とても厳しい。
どう考えても彼女の分が悪い。
           
「もういい」
彼女はそういってバタン
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