春の午後/佐東
薔薇の蕾をなぞる指先で
あなたは
わたしの静脈の中の
青い花びらを
一枚一枚
ていねいに燃やす
薄く伸ばされた
午後のページをめくる
白い重なりは
丸みを帯びた雨の切っ先を
青い温度に変えて
骨ばった頬の上を
滑るようにして
午後の文字列を滲ませてゆく
薄手のカーテンに遮断される
よたよたとした
春の粒子たちは
午後二時を告げる
短針の脊髄を
抜き取ってしまうから
春の雨に
切り取られた部屋の隅で
三角錐のわたしは
溶け始めてる文字列を
読み取ろうと
してるのだけれど
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