彼と彼女とワインの夜/石田とわ
。
いつもと変わらない朝。
いつもと変わらない彼と彼女。
夕べ結局彼女に何があったのかは分からずじまいだ。
でもこうやって変わらない朝を迎えてみると、聞かなくてもいいことって
あるのかなと思う。
夕べあった出来事を今度、「彼」に話してみよう。
彼はなんて言うだろう。
トーストを齧りながらぼんやりと考えるわたしにいつの間にでたのか
「いってきます」の彼女の弾む声がかかる。
振り向くともうすでに彼女の姿はない。
慌ただしいいつもの彼女に笑いがこみ上げる。
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