彼と彼女と綿ぼこり/石田とわ
 
ばいいのにぐうたらな彼女は
いつもぎりぎりまでやらないのが常だ。
          
「着替えてくる。掃除するから手伝って」
きりっとした顔でそういい、ばたばたと寝室へ向かう。
          
彼女は面倒くさがりだが何かを始めるととことんまでやらないと
気が済まない凝り性でもある。
きっと今日の掃除も夕方までかかるだろう。

ジーンズとTシャツに着替えた彼女は寒いのも気にせず
部屋中の窓を開け放つ。
棚という棚のほこりを払い、掃除機をかけ、丹念に床を拭く。
だらだらと寝て過ごす彼女とは別人のようだ。
          
そんな彼女を見ながら散らかった本を片づ
[次のページ]
戻る   Point(6)