彼と彼女と綿ぼこり/石田とわ
ばいいのにぐうたらな彼女は
いつもぎりぎりまでやらないのが常だ。
「着替えてくる。掃除するから手伝って」
きりっとした顔でそういい、ばたばたと寝室へ向かう。
彼女は面倒くさがりだが何かを始めるととことんまでやらないと
気が済まない凝り性でもある。
きっと今日の掃除も夕方までかかるだろう。
ジーンズとTシャツに着替えた彼女は寒いのも気にせず
部屋中の窓を開け放つ。
棚という棚のほこりを払い、掃除機をかけ、丹念に床を拭く。
だらだらと寝て過ごす彼女とは別人のようだ。
そんな彼女を見ながら散らかった本を片づ
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