彼と彼女と綿ぼこり/石田とわ
ぁ出来るし、友達も多いほうだ。
彼女には「心配」の種になるようなことがない。
わたしだって進学のことや友達のことで悩みはつきないのに。
ソファでごろごろする彼女がだんだん不思議な生き物に見えてきた。
何もする様子がない彼女を見かねて言ってみた。
「ねぇ、この前父さんが掃除してたよ」
「うそ!?」
彼女は慌てて身を起してあたりを見回す。
午後の日射しがちょうどいいように部屋の綿ぼこりを目立たせてくれている。
「母さんがあんまり掃除しないからいけないんだよ。
最近、家の中のことやらなさ過ぎだよ。この前の
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