隣で死んだように眠っていた横顔は/榊 慧
 
ってちらりちらりと揺らめいて身籠る。大きすぎて欠けるものを俺は知らなかった。(上を見れば、蛍光灯が眩しいのです。)
 
 誰もが当然のように受け止めて消えた(当ての無い何かが、)。古い知識ですら煩わしいのだ、こんなことになるとは誰だって思わないだろう? 悲劇的浄化に浸りたい夜だってあるんだけれど俺は目を閉じても眠れなかった。なぜかいまでも終わる気配は見つからないまま地獄はその交差点を右に行ってみてそしたら、

 確かめる。呼吸を止めてもなにも変わらないけれど俺は呼吸を止めたままいつか眠れたときの夢の中で彼の人のくちびるにふれる。ちらりちらりと揺らめいて身籠ったのはどちらだ?どちらだ?身籠りたいのは?目を覚ましても気だるいだろうから俺は目を覚ませない振りをしている、止まってしまえ。俺が悪いなら逃げさせてくれ。……迫ってくる。息が荒い。さわるな。「殺したりも、する。」誰を?

 何かがつけた影に傷つけられて、光る、隣で死んでいたように眠っていた横顔は過去でしかない、右手の爪を立てて裂いていく。動かない。裂く。「過去。」矛盾。

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