やさしい世界/まーつん
 
ポンと弾けてしまうのではないかという気がして。

 僕は1人で居るのが好きだ。そこに付きまとう寂しさが、僕を苦しめながらも、なにかとても不思議なやり方で、安らぎに似たものを与えてくれもするのだ。

 休日に歩く散歩道。陽射し照り返す川面の、穏やかな表情。追いつ抜かれつしながら群れを成して芝生の上を歩き回り、食べ物を探す雀の群れ。雲の動き。風の感触。僕は歩道に並行する植込みの前にかがみこんで、これはなんという雑草だったかと考える。その葉の形と、対を成す葉脈のパターン、茎の線、全体のシルエット、どうせわかりはしないのだが、帰ったら野草辞典でもめくってみようと考える。

 古本屋に立ち寄り、
[次のページ]
戻る   Point(2)