やさしい世界/まーつん
時々、訳もなく泣きたくなる。
今日がそんな日だった。目に映る何もかもが煩わしくて、それでいて、執拗にそれらに触れたがっている、もう一人の自分がいた。放っておいて欲しいのに、見捨てられたくない、そんな感じだ。
こんな日は仕事に出ても黙りがちになる。きっかけはいつも些細なことだ。笑ってしまいたくなるような。でも、それが起きた時には少しも可笑しさは感じられず、ただただ、そう…寒々しく、恐ろしい感じ。寄りかかる背中を支えていた壁が、突然僕を食べようと、大きな口を開いたかのように。
バイオリズムという奴なのだろうか。僕はとにかく気分屋だ。今日はよそよそしい態度で周りに壁を作っていた
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)