albus/紅月
先天の、
/腕を牽く。勾配をくだる白日。
現像されたばかりの陰翳、育つ造花。
水禍。渦を巻くあかるい幽霊たちの麓にて、
孵らずにはいられないあまたの埋火、
枝が延びる。翅が延びる。痙攣する玉繭から
漏れる石灰。凪いだ深淵の骨をひとつずつ抜
く。去勢された哺乳類のたてる波紋に、水脈
を游ぐ幼虫がいっせいに散っていく。痙攣す
るシナプスのさざめき。先天の喧騒からはぐ
れ凍えていく私秘のやわらかな首を絞めてく
ださい。誰もなにも言わなくなったあとで、
おびやかすための韻律は獣の形状を化石させ
ていく。途絶えた水際の森閑から重力はおと
ず
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