ヒカリ/佐藤伊織
やあ、
俺だ、俺だよ
最近は元気でやってるか?
あの頃から
なんにも変わってないよ
津波で沢山人が死んだし
あの頃も
沢山人が死んだしね
覚えてる?
いつだってテレビはヒカッっていた
西へ拡散していたのは
灰じゃなくて
目に見えない
あのテレビのヒカリは
沢山の人が
ただ
ありのままに
だからあの夜
おれたちは別々の
小さな部屋で
ゴミが腐ったような
匂いの
靄に包まれて
あの真っ白にヒカッている
たくさんの死体をみていた
なにも変わらないじゃないか?
なにも変わってないんだ。
戻る 編 削 Point(1)