精子の旅 /服部 剛
精子の姿は、魂に似て
お玉杓子は、音符に似て
もし、魂が音符なら
メロディは
五線譜を泳ぐでしょう
無数の精子と精子の競争を
勝ち抜いた選ばれし精子よ
君は辿り着いた宮へ入り
結合した卵に
あの息吹は巡り
母親のふくらんだおなかに包まり
夢を見る
人の幼虫として
何処からか聴こえる合唱に
耳を造詣するでしょう
いつか――棺から起き上がり
炎に踊る老人の黒い影も溶け去り
透明な精子のフォルムは、風を泳いで
吸いこまれゆく
空の向こうの宇宙の宮へ
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