ブリキの森と紙の古城とウルサい湖畔の魔法/木屋 亞万
 
の葉と土で固められていた。
 城は図書館にあるような古い本を何冊も積み上げたような姿をしていた。太陽より大きな丸い紙を丸めた円錐型の屋根と、どんなハサミも通さないような本の表紙でできた城壁、こっそりと中に入れば壁紙や床の紙はいい感じに古びていて、古書店に足を踏み入れた時のにおいがした。
 門番どころか人っ子一人いないので、誰もいないものと思ってぐんぐん奥へ進んでいたら、玉座にぽつんとカエルが座っていた。緑色の宝石のように透けた肌で、どのブリキの葉よりも丸くあでやかな姿だった。頭には金色のススキを巻いているが、服は着ていない。
 カエルの王様は視線ひとつ動かさず口も開くことなく、「この世界にか
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