ブリキの森と紙の古城とウルサい湖畔の魔法/木屋 亞万
 
れじゃあイタチごっこだよ」と私がつぶやいたら、リスは必死に自分はイタチではなくリスだと弁解し始めたので、「そうだね、リスだね」と相槌を打って作業に戻った。注ぐのにも疲れて手を止めようとすれば、途端に囂々と非難を浴びることになる。いつまでも満たされることなどない。もういやだと思ったときに、最初に出会った男の子が通りかかり、「頭を使えばいいんだよ」と教えてくれた。頭を使うと言ったって一体どうすればと聞き返す前に、彼は月のかけらを集める仕事に戻ってしまった。
 しばらくしてリスが、「ずっと注ぎ続けることができれば、乾く前にすべてを満たせるのにね」と漏らしたので、私ははっとして「それだよ」とリスに笑いか
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