ブリキの森と紙の古城とウルサい湖畔の魔法/木屋 亞万
 
弾けきって空になってしまっているのだ。リスは湖の外周のコップにコーラを注ぐだけでいっぱいいっぱいで、几帳面に敷き詰められたコップの中のほうの物たちはのどが乾ききっていて、口々に不平不満をいうのでうるさくてたまらなかった。
 その不平不満の大半が懸命に働いているリスに一斉に向けられていたので、いたたまれなくなって手伝いを申し出た。たくさんのコップが私を冷やかしたが、私がリスからサイダーを預かって乱暴にコップに注ぎ始めたら、コップは一瞬水を打ったように静かになったが、すぐにもとの喧騒を取り戻した。注いでも注いでもペットボトルのサイダーはなくならず、3分と立たない間にサイダーは蒸発した。
 「これじ
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