ほら、あのトカゲ起きてきちゃったじゃない/カマキリ
室外機のそばの窓に 白い紙から切り取った星を貼って
自分が手を伸ばせる範囲を決めている
ホームから離れた電車はたぶん季節を引き裂いて走って
夜という夜を願い事だらけにしながら傾いた
生クリームの上をつるつると 覚えのない涙がはじかれるもんだから
置き傘たちは忘れちゃえよと口をそろえるのだけれど
桃色を、派手に散らかした石畳の数をわたしはいつまでも忘れてやらない
たぶんドラゴンだったんじゃないかな、そうだったらいいよな
草陰の化け物はひさしぶりに息をすることにした
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