ジャポネーゼ・マンドラゴラ。/元親 ミッド
この季節の雨音は、近づく春の足音です。
街の影に隠れていた雪うさぎたちも
一斉に次の冬へと旅立って行くと
“また来るわぁ。”と
駆け足の2月もすれ違いざまにささやいて行きました。
きっともう、春が近いよ。
また、キミに会えるだろうか。
そう思いながらやってきた
博多湾を見下ろす、丘の上の小さな神社には
さくらの木がたくさんあって、いくつも蕾をつけていました。
いつか、近所のたばこ屋のばあさんに聞きました。
さくらの木の下には、誰かの死体が埋っていて
さくらはその死体の養分で、花を咲かせるんだって。
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