アトリエのブルー/まーつん
日々を無駄に過ごすなって
お袋によく言われたっけ
汚れたエプロンを
鎧みたいにまとって
布団たたきを握りしめ
水仕事に荒れた両手を 腰に当てて
にらんでいたお袋
あのころの俺は 毎日が日曜で
朝がとっくに歩き去っても
布団の上で夢うつつ
日々 神様から手渡される
時間という名のカンバスに
野望の木炭で 腹黒い線一本
引くこともなく
人生という名のアトリエには
無地のカンバスが
空しく積みあがっていった
手の込んだ遠近法が要求される
将来図という宿題も
結局手つかずのまま
成り行き任せでやってきた
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