秋葉原の幻/番田 
 
うに。いまどきゲームソフトを買う人なんてオタクのように思えた。ふたを開けてみればスマホ中心のライトユーザーが全てだったような気がする。松屋で食べるくらいなら冷凍食品かレトルトを開けて食べたい。その方がおいしかった。角を曲がれば中国人はもういない。あるものといえばシャッター通り。この街から新しい需要は生み出されない。エロとギャンブルが減少していけばそれは街の終わりを意味した。それは、外でしかできないことを提供することだから。何らかのクリエイティビティが必然なのである。苔の生えた塀が目についた。アダルト関係の店がどこまでも軒を連ねる。入ったことのないオーディオ屋は今では空のようだった。同人誌も売れないらしい。違法ソフト売り屋も見かけない。メディアは今後も底値といえる。価値があるものを見つけるのが難しいと思っていると、万世橋に夕暮れが浮かんだ。


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