カタツムリの抜け殻/赤青黄
片目をつむると殻が置いてあったので
ひょいと拾い上げてみると
それはカタツムリの抜け殻で
蝉や貝の抜け殻ではなかった
延々と続く空洞の底は見えない
殻を持ち上げても
あらゆる光に振りかざしても
星の一つや二つふってこないなんて
この宇宙は駄目な宇宙だと
僕は殻に向かって激怒したのだ
☆
曇りガラスの上を一筋の液が垂れていく
指でこするとそれは粘着質の物質であることが分かる
慌ててガラスでこすりとる
キュキュッ
雨ガラスになる
外はすきすさぶ風に右往左往する雨粒でうるさかった
粘着質の液は水分を吸収して生き
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