新しい扉/三田九郎
 


救われるために書いてきたものを、あるとき、他人にも読んでもらいたいと思った。何か感じてくれる人がいたら、感じたことを教えてくれる人がいたらうれしいだろうなと思った。自分自身を救うために、書き始めた。書き続けてきた。書くことで、確かに僕は救われてきた。書くことは孤独な作業だし、僕の場合、その目的も単に個人的なもの(自分自身を救うため)だったはずだが、あるとき、他人は、どんなふうに受け止めてくれるのだろう。ある頃から、そう思うようになった。

同人誌を作りたい。詩を書いて欲しい。載せて欲しい。そんなふうに言ってくれる人がいるという、そのことが単純にうれしく、ありがたい。詩を書くことで、僕は
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