うらら/
村上 和
公園にひとり男の子
空を見上げたら
花びらが舞っていたから
これは夢なんだと気づく
くしゃみする間にも
悲しみは正しく生まれていて
目薬を注しても
溢れ出てくるものは止まらない
ふと気づくと
もう誰もいなくて
砂の山のそばに
スコップとバケツが置き忘れられている
おなじ夢を
また見ることができるなら
泣いてしまう前に
この鼓動が止まればいい
うららとは
こんな日のことなんだろう
という昼下がりは
なんだかすべてが淡い
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