寂しいものたち/梅昆布茶
 
月は淋しくて蒼い光をそっと流すのだった

夜は哀しくて汽笛をひとつ響かすのだった

風は切なくて切れ切れに吹いているのだった

君は懐かしく僕の思い出の窓辺に座っていた

仄白い水仙のように儚い夢を見ているように


街は淋しい影で埋められていた

自分の影を踏んで僕たちの嘆きは祈りに変わるのかもしれない

こころに柔らかな足あとをつけてしなやかな獣は立ち去ってゆく

そして優しい夜にまたひとつ繋がれた指と指が別れるのだった


迷いながらぶつかり合いながら魂が歌う歌が思い出せなくて

立ち尽くしているきっとそんな夢のなかにいるのだろう僕らは

やはりきょうも淋しいいきものなのだろう




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