震災の記憶/小川 葉
、三つ買ってきた。それが震災当日の、夕ご飯になった。水道が止まりかけていた、残りの水を、石油ストーブで沸かして、一杯分のお湯を、三食分わけた。おれの焼きそばはぬるくてかたかった。それから、寝室で寝ようとしたけれど、寝室にはいるたびに、余震が来て、出たり入ったり繰り返していた。しかたなく、キッチンに布団を敷いた。玄関が近いので、すぐ外に逃げられると思った。眠ろうとすると、またすぐに余震が来て、眠れなかった。ラジオをつけると、荒浜で、数百人の遺体がと聞こえた。昔、海水浴にいった荒浜。嘘のようだったけど、ありえることだなと思いながら聞いていた。しかし、この余震、眠れない。眠らなくていいけど、余震は収まっ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)