震災の記憶/小川 葉
 
埋め尽くしていた。ふと家族のことを思い出して、もしダメでもいいように、とにかく無理して笑ってた。笑うしかなかったな。家に着くと、家の前で、妻が隣の、おばあちゃんと話をしていた。その脇で、息子がぽつんと立ちつくしていた。雪の降る中に。家に入ったら、めちゃくちゃだった。家に入ると、余震が来るので、怖くて出たり入ったりした。そうしてるうちに、とにかく食べ物の確保を、となって、コンビニにいくと、大行列。並んでもほとんど何も買えないようだった。あきらめて、家に帰る途中、近所の商店の前に、店の夫婦が立ちつくしていた。なにかありますかと、聞いたら、カップ焼きそば残ってますといった。いいんですか?と念を押して、三
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