川柳が好きだから俳句を読んでいる(6、上甲平谷のこと)/黒川排除 (oldsoup)
集成と呼ぶが、それがセクションを三つにざっくり切っていることには大いに賛同したい、これがその中期の作品だ。上甲平谷のすごいところはどれだけ後になっても初期の作品の伝統っぽい硬さを失っていないところ、初心を忘れてないところだが、さすがに少なくはなってくる、その抜けた隙間へ徐々に増殖しだしたのがこの一種の幻覚めいた、ファンタジックな俳句である。静謐はやや後方に下がり、変わって躍動感のある光彩が姿を現す。主宰雑誌の名前が火焔であったことからも知れることだし彼も好んで火を俳句に取り入れてはいたが、火のないところにすら光彩が踊っているように感じる、火のないところに煙は立たないとしてもだ。衰えた肉体がもう一度
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