箱庭 六晩目 〜惠み〜/黒ヱ
 
〜隣にいる 可愛げなお妃様のお話〜

薄く掌の温度 撫でる
紅く火照る頬 触れたいよ

水際で待っている その間が余暇となり
淡く 互いを焦らす
「それでも」
彼は言う 
「果たして暇とは何だろう」
舟に乗り 会いに行くさ
「あなたとなら その間に 何か価値を見出せる気がするから」
ずっと 待っている

夜から日差しが割れるが如く
届く 咲く蕾は綺麗
満天の星すらも 晴らしてしまう
「あなたがいい」

指切りしよう 指切りげんまん
終に 辿りつこうとする二人は 
また 新しい門出を探す
何度も 何度でも
「あなたには 桜が似合いますよ」
愛して 愛さ
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