「林檎」/ベンジャミン
 

(不器用であることは、罪ではありません)


林檎の皮をどれだけ長くむけるだろうかと
無邪気にはしゃいでいる間に
途切れてしまった命はいくつ
あの赤い肌をすべっていったことでしょう


もしもあなたが
その赤い線のような林檎の皮に
からだをはしる幾すじもの流れを
感じることができるなら

いっそわたしは
赤い耳のウサギのかたちにして
あなたが美味しそうに食べるのを
嬉しそうに眺めていたい

(この いろ)
(この かたち)

まるで心臓みたいでしょ?
わたしけっこう器用なのよ

赤い耳のウサギつくれるもの
それがわたしの罪だとしても
甘い悦
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