箱庭 三晩目 〜色〜/黒ヱ
 
〜今を語る あるお姫様のお話〜

無言で奏でる 見えぬ所で互いを知る
その暮れた先で 未だに覚えている

「あなたは どうかしら」

夜に舞い
硝子玉には 汚物にしか映らぬ
鎖は縛る 毒は回る

「お前には 海が似合うよ」

記憶

そして反転し 今を見た

それは

「何かを 象徴しているようにも
 また何かを 訴えているようにも見えるのだが

 忙しなく それは忽然とやって来た
 果てに それは唐突に伝えた」

「聞こえているか」

天心は廻る いつでも凍えさせている
風前の灯を 包む手が 
それすらも消してしまいそうになる

迷い 眩む
全てを疑いそうになる
この残心の嘆きよ

「幸せには見えないが 
 お前が底に行ってしまったのならば仕方ない」

もう 救えない
見つけてしまった

そこで ずっと ずっとね
ずっと 凍えていておくれ

せめて 一人で
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