キリンは悪魔のような舌を出して餌をねだった/初代ドリンク嬢
 
   その箱の中には
   巨大なソーセージのような
   赤黒いいなまこのような
   パンパンに膨れ上がったものが
   体らしきその全体をくねらせていた

   私はそれが自分のものだと認めて
   抱えた

それからのこと

それまで
私は目の前の理由を追いかけて
遠くを見つめていた

股間から赤い血を流すたびに
その箱が増えるたびに
「理由」が減っていった

「理由」が少なくなり軽くなった私に
「理由」はもう追いつけず、

目の前を走る「理由」は
追いかけているのか
追われているのか

ただ遠くを見ていた
自分が懐かしくもあるけれど

減ったものの代わりに
増えるのはただ「ある」ということだけで

また
その得体の知れない箱を拾って
必要のない「理由」を捨てて
でも
だから
ただ
私は
「ある」

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