《冬の星座》にあのひとをさがす/石川敬大
こがらししとだえてさゆる空より
地上にふりしくくすしきひかりよ
埠頭の水たまりに
月がこごえはじめている
真夜中には
かげもまた針のようにゆっくりと動いてゆく
すてられた犬の子がいっぴき
きょう一日
ありつけなかった食べものをもとめて
魚くさい路地をはいかいしている
ものみないこえるしじまのなかに
きらめきゆれつつ星座はめぐる
電柱はおろか
家も屋根もねむる漁師まちに
ひとの声はない
まるでべつの世界にきたように犬の子はひとりだ
月あかりがたえ
いっそう鬱蒼として
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