無題/南条悦子
 
漠然とした過去の解消によって現在が剥き出しに現出し、錯綜を保留することにより安定している"私"が、一貫した実在である私へと、すなわち生身へと生誕される。

私は蓄積した過去によって空気が漏洩される。つまり、過呼吸である。腹と鼻の未分化。係留されない呼吸の温もり。空気は一塊となって、世界に放出される。振動も作用も及ぼさず、影響も受けない。過呼吸は無化される。

確かにある世界の上澄みとして処理されてしまっている。抽出されている。それでいて、過剰にあり、提出している。世界は微動だにしない。私はぐっと押さえられ、粉々になりそうになる。ぐちゃりと音を立てて潰れてしまいそう。体内
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