幸福な繭/月乃助
く
垣間みる日常の
目の前に車が轢く幼児の 母の瞳や
男たちに次から次に犯される少女の地獄
いじめに校舎の屋上から飛び立つ少年の 最後の呻き
ステ‐ジ4の告知に歪められた 男のくちびる
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・
「 だめ、比べては、
繭に耳をあてて聞いていた 雪ん子の声らしかった
私は、
心の棚につもる 邪(よこしま)なチリをはらい
歴史に名をなす 嘘つきたちのあらゆる金言を棄て去ろうと
心を傾ける
いつか、
繭のなかで
私の肩甲骨は、軟化をはじめ
背が疼き
それは、純白な翼へと変わっている
私は、
雪のなか
越冬する蛹(さなぎ)のように その時をまっている
}
戻る 編 削 Point(4)