幸福な繭/月乃助
{引用=
昨日の雪
明日降るそれとはちがうことを
今日の私が、気づきはじめる
堕ちてくる雪の やむことのない語らい
一つの声か 言葉らしきものを手繰りよせれば
つながる白いサダメを紡ぎ
雪の繭を編む
森の精霊か、雪ん子が好奇の目をむける
繭のなかで安らかな 胎児のように
まるくなり、
なぐさめに
幸せになろうと心をさだめ
この世のありうべき悲しみと苦痛の往きつく先を 想う
その深淵にたてば
オノレがひどく幸せにみえてきそうだった
( 相対性幸福経済論 )
けして遠い国の戦場の
無惨な兵士の死などでなく
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