雪うさぎ。/元親 ミッド
1月の曇天は、この田舎町に
たくさんの雪うさぎを放ちます。
最近は、昔ほどは多くはないけど
それでも今年も雪うさぎが放たれました。
雪うさぎたちは、放たれた当初は
その数の多さから、わがもの顔で
民家の屋根と言わず、塀と言わず、
どこかしこにもいて、
白く、もこもこと群れていました。
彼らが本物のウサギと異なる点は、
ピョンピョンと飛び跳ねないことでしょうか。
やがて野犬に捕食でもされたのでしょう
2月に入ると、ぐっと数を減らし
あちらこちらにある小さな物影で
じっと息を忍ばせて、ひっそりと
生息するようになっていました。
そうして2月も下旬にさしかかると
彼らはどこへやらと旅立っていくのです。
雪うさぎって、渡り鳥なんですよ。
知ってました?
だからうさぎって1羽、2羽って数えるらしいよ。
戻る 編 削 Point(12)