青空/佐藤伊織
生きる事が許されなかった子供達が
大人になったいま
それでも生きると
決断する事の
哀しさ
生きる事は許されない
ただ生きるだけである
自然にも社会にも逆らい
生きるだけである
殺せ
殺せ
わらって
ナイフを渡されて
私は空を飛び回り
屋上から飛び立つ鳥のように
ただ
ただ
笑っている
あたたかな
幸せに包まれて
光が鮮やかに
誰かを導いている
ただ
私を
殺すために
殺す価値もない
私のために
私は
私自身を
殺すために
「面倒くさいから、これ」
そうしてただ
ナイフだけを
渡されている
私は
そのナイフを
笑って受け取って
お前を
刺し殺す
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