プロレタリアート落涙/樹圭介
 

唄う

地方都市のサラリーマンが
心的外傷もなく
向精神薬を服用することもなく
休日には家族と公園であそび
給料日にはささやかな宴をひらき
母が「膝が痛い」と言えば病院に連れて行き
祖母が「お前は誰だ」と問えば
きょう二回目の「はじめまして」を言い
雨にも負けず
風にも負けず
その健やかなるときも病めるときも
喜びのときも悲しみのときも
富めるときも貧しいとき



宮沢賢治、結婚式誓いの言葉からお声を
お借りしています。
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