ドルフィン/
オキ
岩場の陰で
ひとりの少女が
ドルフィンの頭を撫ぜていた
頭を撫ぜて貰ったドルフィンは
後ろにのけぞるような
反転をして
海に帰って行った
明朝もやって来るのだろうか
私は見なかった振りをして
岩の後ろを通り抜けて行った
四、五分して振り返ると
少女はまだ立っていた
二キロも沖で
きらっと海が光った
海に潜るという合図だったのだろうか
点のようになっていたドルフィンは
まったく見えなくなり
少女もそこを立ち去った
戻る
編
削
Point
(3)