ポトフ/月乃助
 
 雪の かじかむ物語


                  キッチンでは、


たまねぎ と
にんじん
キャベツ に
手羽先 は、
なべの中で湯浴みをするように 瞑想の
ポトフに 煮詰められ
温かな湯気をたてる



  雪の深さに
   心がくじけそうになれば


「 ほら、はやく手をうごかさんと、終わらんよ

知らぬまに横でオバの声がした
この人は、
くわえタバコで、らくらくと雪をかいていく



手のひらのまめと、
汗が肌をつたいはじめたころ



「 オバ、これが終わったら 黒ビ‐ルに野菜の煮込みじゃね

「 ああ、雪かきも わるくなかろう







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