ニシヒガシと親子/はるな
 
いの毛なみのようにひかって、風のふくたびにきらきらとまたたいていました。

どおん、という大砲の音は、きっとなにかの合図にちがいありませんでした。けれども、子どもたちは、それが何の合図であるかはわからなかったのです。そのうすっぺらい胸のうちに、不安とも期待ともつかぬ予感を、どおん、という揺れのおとに合わせて刻むだけでした。


「かあさん」
布きれにくるまった子どもは言いました、
「あんなに星があるのだから、ぼくはいつかあのいちばんひかっているやつをかあさんの胸にかざってあげる。」
母親はなにも言えませんでした、やっぱりここはあまりに寒く、それに二人とも、最後のスープを飲み干してし
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