書店に詩を/深水遊脚
 
1。「めいめいが自分の好きな詩集を」ではますますターゲットがはっきりしない。それらの詩集の特徴や読者の属性から何らかの公約数をとろうとしてもまず無理。商品にじかにふれてみようと熱心な販売員が思ったとして、期待に胸を膨らませた彼が、それをみたあとで落胆と共に売ることを諦めたとしても決して彼を責められない。
 だからといって「好きな詩集を」の部分は譲ってはいけない。書店に考えを変えさせよう、という人がもし本気で「好きな詩集を」発注しないならば、その真剣さはきっと伝わらないのだ。詩を読む人の模範的な振る舞いなどいらない。ただの変な本の愛好家として1ヶ月に1冊、買い続ければいい。


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