戯曲(習作)/星☆風馬
せむし「ああ、あれですかい。あれは今、兄貴のところへ行ってきたんですよ
金を渡しにね。せっかくもらったなけなしの千円札を惜しげもなくね
てかった穴ほげスカートとぼろシャツ一枚着て、金は兄貴の懐へ
なんてけなげで兄貴想いの娘なんだ」
父 「十四は越してるだろう」
せむし「そんなに目をギラつかせるじゃありませんぜ。どんな娘も自分のものにしたが
って、手折って手折れぬ花はないと、自惚れるというやつだ。ところがいつも
そううまく行くとはかぎらないんだが」
父 「道徳を盾にとってぐずぐず言うのはやめてくれ
それからきっ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)