ホルバインの描く奇妙な染みと静けさ/樹圭介
 
猫なしのにたにた笑いなん
て!あんな奇妙なものを見
たのは生まれてはじめてだ
わ!『不思議の国のアリス』

誰かと誰か、何かと何か。それらがそこに在る
というただそれだけのこと。例えば、東に向か
って歩けば影を追いかけることになるような時
間を、光が所与の役割を放棄したと呼ぶのも、
あなたがたの自由だし、それが何かの始まりな
のか、何かの終わりなのか、またの何かの終わ
りなのか。長い沈黙。悪い例えだ。偶然で曖昧
な世界の死を現在形の独白で書きたい欲求に駆
られている。それもそのはず。思い出の腐った
堆肥を載せたトロッコは何処へも辿りつけない
のだから。注意。けれど、あ
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