雪迎え(2)/ブライアン
に戻る様に、蜘蛛も戻ることはあるのだろうか。もし戻ってくるのだったら、どれくらいの確率で戻ってくるのだろう。散り散りになった蜘蛛の子供が、再び顔をあわせることはないだろう。降り立ったその場所で再び生き始める。
福島駅、接続の電車を待っているとき、風が吹いた。湿った冷たい風だった。もう、お前など知りはしない、帰ってくるんじゃない、と言っているようだった。福島駅から電車に乗り吾妻連峰を越える。国道十三号線と並行するようにして電車は走っている。見慣れたはずだった景色は遠かった。かつての大都市は、今にも廃れてしまいそうな街に見えた。老人たちが畑で仕事をしていた。子供がランドセルを背負って道を歩いている。
空には飛行機雲が見えた。晩秋の小春日和、もしかしたら蜘蛛の糸は目の前に降り注いでいたかもしれない。
それから三日後、東京へ帰った。メールが届いた。母親からだった。昨日の夜から大雪だ、とメールには書いていた。風邪をひかないように、と。
山形が大雪の日、東京は晴れている。乾いた風が強く吹く。空には雲一つない。
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